カルラの日々徒然

気がつけばマイナー好きになっていた

「生きてるものはいないのか」

こちらはかねてより楽しみにしていた招待公演。
前田司郎氏演出の、人がばたばたと死んでいく話らしい。

マレビトの会を見終えた後だったので、
こちらの舞台でもノックアウトされたらどうしようと
多少不安になりながらも、烏丸まで移動してから晩ご飯代わりに
ハムサンドとカフェオレを食す。

芸術センターへはこれで3度目なので迷わずに到着。
時間もだいぶあったので、ロビーで座って本を読んだり
眠ってみたり。
Kちゃんとか知ってる人いないかなぁと探してみるけど
生憎と誰もいない。
サリngさんらしき人を発見したけど、面識はないので
やはり一人ぽつねんと座っている。
チケット受付時に、センター事務局の垣脇さんとご対面。
お互いに「その節はどうも」といいながらチケットをもらう。
さらに開場時間までまたひと眠り。

舞台は3段ほど、ひな壇のような配置になっていて
つらの右側にテーブルと椅子が3脚ほどある。
そのテーブル周り以外は、どこかの病院が併設されている
大学構内らしい。テーブルはたぶん市街地にあるような
茶店か。

その茶店で、男を挟んで二人の女がやりとりをする。
彼女がいるのに浮気をして、その相手が妊娠したらしい。
でも浮気相手の女は結婚はしなくていいから養育費を出せという。
本彼女は彼氏につめよるもらちがあかない。
注文を取りにくるウエイターは間の悪さにおどおどしている。

かたや大学構内では、女子学生が都市伝説を話題に
友人達と盛り上がる。
いかにも今の大学らしい雰囲気の学生達。
学生達は入れ替わり立ち替わりやってくるが、
すこんぶを食べた女学生が、一番最初に死んでしまう。
一瞬アドリブかと思ったほど、酢にせきこんでいるのかと
思ったくらいだった。

それをきっかけに次々と学生達は原因不明で苦しみながら
死んでいく。
茶店にいた人物達も死んでしまう。
いや、正確には、病院に入院していそうな少女が2人を
殺してしまうのだが。彼女も結局死んでしまう。

最後に生き残ったのはウエイターただ一人。
彼だけが立ちつくして暗転し、再び明るくなって幕。

この、普通なら人が死ぬ、という特別な現象であるものが、
この舞台では息をするのと同じようにみな死んでしまう。
もちろん、舞台上での人物は、訳がわからず誰彼が目の前で
倒れ息絶えるのだから、恐怖や驚きがある。
だが、それを観ている者へのパフォーマンスという感じにもとれるし、
みんな決して「きれい」には死なない。

こんな舞台なのに、何故か最初から笑いが絶えない。
本当に思わず笑ってしまうのだ。
それは、行為ではなく、台詞と台詞の「間」が絶妙で
抜群に面白いからだと思う。
「間」が生み出すコミカルな笑い。
こんな重いテーマをここまで笑いに変える事ができるんだと
素直に感心していた。
だけど、決して軽んじている訳じゃない
逆に、これを観た人が「こんな簡単に死ぬなんてつまらない」と
生に感心を抱く類のものに思える。
一日の最後に、この舞台を観られた事はラッキーだと思った。

それにしても、自分の学生時代の演劇とは随分手法が
違っているのだろうなと感じてしまう。
でもあの頃はエンタメ系中心だったから、
やっぱりまだまだ観て行かなきゃ。
芝居に限らず、色々な舞台を観たいと思います。
お小遣いの許す限り。

けど、今のところ結局は
dracomが一番好きな集団に変わりなしですね。